このようなお悩みありませんか?
・和声を勉強したいんだけど、良い教則本が見つからない
・和声の教則本を見ながら勉強しているんだけど、内容がいまいちわかりにくい
・和声をもっと気楽に勉強したい
・バッハの和声を徹底的に学びたい
・覚えなきゃいけないことが多過ぎて疲れた
などなど…….
日本でも、「和声法」などの教則本は確かにたくさん出版されています。
また、海外からも、例えば”ワルター・ピストン“(Walter Piston)の「和声法」などの著書のような素晴らしい教則本はあります。
私も実際にイタリアで作曲を勉強していた時には、ワルターピストンの教則本を使っていました。
もちろん、たくさんの例も出ていて、わかりやすく説明されてはいます。
ただ、では、それを忠実に守って実践してみると、やはりそれだけでは、なかなか難しいことに気づいたりもします。
そこで、そんなアナタにオススメしたいのが、これです!
⇒バッハ, J. S.: 371の四声コラール集 BWV 253-438/ブライトコップ & ヘルテル社/オルガン譜
バッハ 371のコラール
バッハの371のコラールです。
簡単に言うと、バッハが当時、歌われていたソプラノの旋律に和声を付けた曲集。
この曲集の中には、バッハのマタイ受難曲やクリスマス・オラトリオなどで使われている曲も含まれています。
例えば、マタイ受難曲では、”Herzlich tut mich Verlangen” BMV727 (語訳:私は心から願います)のコラールが使われていることが知られています。
また、Weinachts Oratorium(クリスマス・オラトリオ)の最終曲の中でも壮大なオーケストラが登場したりもします。
この371のコラールは、中をみていただければ一目瞭然ですが、すべて数小節の比較的、短い小節数で構成されています。
6度や7度など大きな「跳躍進行」などは見られません。
コラールのもともとの語源とは?
「コラール」という言葉は、何となく良く聞かれる言葉ですが、あまり把握されてない方もおられるかと思います。
一言で簡単に言うと、もともとルター派教会にて民衆によって歌われていた讃美歌で、16世紀中ごろから登場します。
ルター派というのは、ドイツの宗教改革の提唱者、マルティン・ルターの信仰を支持するキリスト教プロテスタントの一派。
まとめると、「コラール」というのは、当時の日常的に使っていたドイツ語で韻を踏み、誰でも簡単に歌えるように作曲されているものです。
バッハ:四声部のコラール
このコラールは先ほど紹介した、”Herzlich tut mich Verlangen”です。
四声部のコラールは通常、上から、ソプラノ アルト テノール バス
の四声から構成されています。
上二声部のソプラノ・アルトは女声、下二声部は男声。
音楽大学で、ピアノ、ヴァイオリン、フルートなど、何かしら楽器を専攻された方であれば、副科必須科目として、「和声学」を学ばられた方も多いかと思います。
しかし、基本的な和音の機能や、和音の進行のルール、転調、など内容はかなり浅いのではないでしょうか?
通常、音楽高校、または音楽大学では、「バス課題」をまず先に勉強します。
「バス課題」というのは、8小節ほどの長さで、要するに「バス」声部が与えられ、その他の上三声部(テノール・アルト・ソプラノ)を作っていく課題です。
一方で、「ソプラノ課題」といわれるものもあります。
それは、「バス課題」とは逆で、8小節ほどのソプラノ声部が与えられ、残りの下三声部(アルト・テノール・バス)を創っていく課題です。
どちらかというと、「バス課題」の方が、ソプラノ課題よりもやりやすいのではないでしょうか。
なぜかというと、もう既にバスの声部が与えられていることから、和音自体の機能がほぼ決まっているからです。
「ソプラノ課題」はというと、一番下の声部、つまり「バス」が決まっていないので、選択の数が増えることもあり、作曲家からすれば「バス課題」よりも楽しめたりもします。
なので、このバッハの371のコラール集は、言い換えると、バッハも同時にソプラノ課題として、和声付けを楽しみながら勉強していたのではないでしょうか。
バッハの371の「コラール」の勉強方法
それでは、このバッハの371のコラールをどういう風に勉強すれば良いのでしょうか?
①まずは、371の中からどれでも良いので一つ選んでください。
②選んだ「コラール」を別の楽譜に、書き写してください。
※初心者の方であれば、普通のト音記号・ヘ音記号の楽譜で構いません。
※中級者の方であれば、ト音記号とヘ音記号ではなく、ソプラノ記号、アルト記号、テノール記号、バリトン記号を使って書いてください。
これらについては、また別記事でもう少し細かく説明するようにいたします。
③そして、選んだ「コラール」をピアノで何度も、何度も、指と脳に叩き込ませるように弾き込んでください。
④どんな感じのサウンドなのか、少し慣れてきたところで、ローマ数字を使っての分析を始めます…….
和音分析の方法については次回、説明しますね。
まとめ
バッハの凄いところは、こういった「コラール」の全く同じ旋律があったとしても、それを見事に、曲に合わせて多種多様に和声付けをしていることです。
言い換えると、同じメロディーでも、和声を変えることで、全く違う曲が出来上がるということです。
考えてみれば凄いですよね?
現代風に言い換えると、例えば、サザンオールスターズの歌のメロディーを使いながら、下声部の和声を変えることにより、また感じの違った曲に完成させることが可能ということです。
まずは、バッハのコラールでの和声分析から慣れることが最も大切な事です。
こういった基礎が自然に出来るようになると、その後、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの古典派クラシック音楽、その後のショパンやシューマンなどのロマン派の和声分析も出来るようになります。(バッハよりはかなり複雑ですが……)
次回は、「和声分析」をどのようにするのかを説明していきます。
⇒バッハ, J. S.: 371の四声コラール集 BWV 253-438/ブライトコップ & ヘルテル社/オルガン譜
関連記事:バッハ371コラールの和声分析をする前に必要な下準備とは?