音楽大学では何をすべきか??
受験を乗り越えて音楽大学に入学した皆さん。長いようで短いこの4年間に何をすべきか考えているのではないでしょうか。
将来ピアニストや音楽の先生になりたい人、もしくは一般企業に勤めたい人もいるでしょう。
さて、大学時代には何をすべきなのでしょうか?
音楽を理解する上で必要な教養とは?!
まず教養を深めましょう!
教養が深まるにつれて、その深みは知性となり、その知性が深まれば価値観も変わります。
価値観が変われば行動も変わり、その人の演奏も変わってくるでしょう。
教養とは一朝一夕で一つの本だけで身につけられるものではなく、むしろ目的なくなんとなく調べたものや読んでみた本の中から得られることが多いのではないかと思います。
純粋に知りたいという気持ちで教養を深める姿勢でなければいけません。
特に文学や哲学、美術、歴史は西洋音楽を学ぶ上で重要です。
好奇心を持ってさまざまな教養に接しましょう!
音大生なら学ぶべき語学のはなし
語学も大切です。
音楽に限らず文化そのものはことばからの影響を強く受けています。
たとえばドイツ音楽にはドイツ語からの、フランス音楽にはフランス語からの影響があります。
ある言語を知るということはその文化を知ることと同じことなのではないでしょうか。
また作曲家たちは音楽を構築するときに彼らの母国語を使いながら作曲しました。
それだけではなく彼らは彼らの母国語を使って笑ったり怒ったりしましたし、彼らの母国語によって傷つけられたり、彼らの母国語でラブレターを書いたりしました。
それらの言語を知るということは、彼らの内面に近づくということでもあるのです。
ヨーロッパの空気を感じよう!
また、ある程度外国語を知っているとその国を旅行し、さらには留学もできます。
西洋音楽はヨーロッパで生まれた音楽です。
ヨーロッパの空気を直接感じることは作品への理解に影響してくるでしょう。
半月のマスタークラスや語学留学でもよいので、ヨーロッパに滞在してみましょう!
人の演奏を聴こう!
演奏会には頻繁に通いましょう!ピアノだけでなく、ぜひ弦楽器や管楽器、オーケストラなどのさまざまな形態の演奏会にも行ってください!
CDやレコードなどで過去の名演奏に接することもおすすめします。
たとえばヴィルヘルム・ケンプやアルフレッド・コルトーなど、彼らは歴史上の作曲家の弟子だったり、多くの作曲家と交流を持っていたりしました。
そのような人たちの演奏からはより多くのことを学べることでしょう。
深い交流を持つことの大切さ
音楽は常に会話の連続です。
演奏家は楽譜の上で作曲家と会話をして、作曲家が何を考えたのか読み取る必要があります。
そして聞き手に向かって音楽で語りかけなければいけません。
理想的な会話では自分が一方的に話すのではなく、相手の気持ちを想像しながら話さなければいけないと私は思います。
日頃から自分がどのように目の前の人と会話をしているのかということは、音楽にも大きく影響してきます。
ですので、ことばに対する感受性を大事にして下さい。
あることばを使うことによって、相手がどう感じるか日頃から想像する姿勢が大切です。
まさにこれからの時代、機械にできなくて私たちができることとは、想像力を持って聞き手との心の交流を持ち、演奏をするということなのではないでしょうか。
一方的な演奏であれば、近い未来にかなり質のよい演奏を機械がやってしまうと思います。
心の交流を持ちながら演奏するためには、まさに今、目の前にいる一人の人のことを大切にし、深い会話をすることを心がけて下さい。
まとめ:音楽を学ぶこととは?!
最後に、この4年間を音楽的なテクニックのためだけに使わないように心がけましょう。
かつてギリシアの哲学者プラトンが、「ムーサの女神(音楽の神さまのこと)に呼ばれるということなしに、技法だけでムーサの女神の領域を侵そうとする人がいるならば、女神はこれを拒むであろう」と書いたように、よい音楽を演奏するためには、広い意味での音楽に関するテクニックだけではなく、目には見えない自分自身の価値観や人柄、音楽そのものへの多角的で深い理解が大事になってきます。
そして音楽を学ぶということは、自分の感受性を豊かにするということだけではなく、相手の気持ちを想像し、それと自分を調和させながら交流を持つという目的もあるでしょう。
そのためにこの記事で紹介した、教養を深め自分自身の価値観を広げること、外国語を学んで見聞を広くすること、人の演奏によく耳を傾けること、自分自身のことばに注意をしながら人との深い交流を持つことは大切なことです。
大学の4年間、音楽を通して人としてより良く生きていくことを模索しながら実践して、よい学生生活を送りましょう!